パピー・夢農園 ブルーベリー栽培の紹介

病気

 農薬に頼らずとも病原菌への免疫力を高めることにより罹病を防ぐことができます。樹体が弱っていると、組織の弱いところから病原菌の侵入を許してしまいます。化学肥料で育てると、成長は早いものの病虫害に弱い体質になると言われております。植物の免疫力を向上させるにあたり共生菌の働きを無視することはできません。自然界でのブルーベリーは共生菌とともに定着してきたわけですが、樹自身が本来備えている免疫力を発揮させるためには共生菌との連携が不可欠であり、共生菌との連携がなければ樹体本来の免疫力を発揮することはむずかしいと思います。また、共生菌については樹体内部に侵入・共生するエンドファイトとしての利用について民間レベルで研究・開発が進められており、そういった技術を導入することにより免疫力を高めた無農薬栽培が実現可能なものとなっています。 弘前大学の杉山教授の著書「すごい畑のすごい土」では“奇跡のりんご”の木村秋則さんの畑で起きている菌ネットワークの生態について分析・解説されております。「植物がエンドファイトに感染することにより病気に対する免疫が活性化する」「エンドファイトにより誘導される免疫は、どの病気にも対応する「圃場抵抗性」のタイプであり、木村リンゴ園では慣行栽培リンゴ園と比べエンドファイトの種類が多い」とのことです。ブルーベリー栽培においても同様に、共生菌を活用することが、樹の成長だけでなく耐病性という観点でも大いに貢献できる栽培方法になると思います。 

 

 

■バルデンシア葉枯れ病
この病名は2009年のブルーベリー協会シンポジウム(鶴岡)で、横田清先生の講演で聞いたのが初めてかも知れません。登録農薬が無く感染したら処分するしか対策がないとのことなので、リスク管理の観点からも認識しておきたい病気です。

 

2003年岩手県で発生が認められた糸状菌による新たな病害。
低温を好む病原菌(生育適温は15℃〜20℃)で、発生初期はヒコバエに症状が認められ、その後新梢葉に伝染する。
この病気の登録農薬は無いようですので、ヒコバエの剪除、感染葉の園外処分による対処とすること。

 

岩手県農業研究センター資料

 

 

■灰色かび病
 Botrytis菌により、開花時の長雨や曇天続き、高湿度により感染が促進されます。
花が褐色になって萎れます。花はお互いにくっつき、埃のような灰色の菌糸でおおわれます。
果実に感染すると萎縮してしわが寄って商品価値が無くなります。

対策は風通しを良くすること。樹冠内部が混みあわないよう剪定し、受粉後の花弁除去と周りの除草をきっちり行うことが最良の対策だと思います。 以前、周辺の雑草等を刈らずに放置したところ、灰色かび病や斑点病が蔓延してしまったことがあります。 ブルーベリーへの風通しが悪くなった事が原因のようです。周辺の草刈りをこまめに行うことにより風通しも良くなり罹病は減少しました。受粉後に樹上に花弁が残っていると発生しやすいので強制的に除去したほうが良いと思います。 登録農薬の中では、「アグロケア水和剤」などのバチルス ズブチリス菌水和剤が安心して使用できます。これは自然界に存在する細菌から作られており、使用回数に制限がなく、農薬成分としてカウントされません。マルハナバチ、ミツバチ、天敵昆虫への影響もありません。

 

 

■マミーベリー(Mummy berry)
リンゴに発生するモニリア病と同属の菌による病気とのことです。
果実が成熟段階に入り果実が青色に変化した頃に発病し、白色がかったピンク色になり萎びてきます。
空中湿度が高い場合に発生するようですが、胞子の生成は地表面下1.5cmまでのところで被害果などから形成されることから、樹列間の土壌表面の中耕や落下した果実の除去など、土壌表面の清耕法が推奨されています。また、果実の重さで枝が垂れ下がり、果実が土壌に接近することのないよう剪定段階で配慮する必要がありそうです。

 

 

 

害虫

■蛾の幼虫による枝や幹内部の食害
<コウモリガ>

幼虫が茎の中に入って芯を食べます。入口の外には糞(オガクズ?)が積もっているので注意してチェックしたいものです。2008年にエリオットが食害にあったときは、気付いた時には既に手遅れでした。 紅葉→落葉→枯死 写真の○で囲んでいる黒くなっているところが入り口です。

 

 

コウモリガは、飛びながら空中で産卵するのだそうです。孵化した幼虫は1年目はイタドリ等の雑草についてその後樹木へ移動するとのことで、予防策としては周囲の雑草を刈り取るべきとの指導がされています。 茎の地際にアルミホイルや新聞紙を巻きつけるとか、接ぎ木用テープを巻きつけて防御する方法もあるとのことですが効果は不明です。

 

 

こちらは2014年4月20日に発見したコウモリガの食害により枯れ死に至ったカーラズチョイスです。
地表面からの食害痕が確認できなかったことと、冬期間に樹が萎びたことから、凍害あるいは枝枯れ病を疑ったのですが、株を掘り起してみたら株元に食害痕を発見しました。 もろくなった樹の中には大きな幼虫が越冬していました。 キマダラコウモリの幼虫のようです。

 

 

 

 

<シンクイムシ>
メイガやハチノスツズリガの幼虫(スムシ)による食害
主幹の上部が赤茶けて完全に枯れてしまいました。当初病気によるものだと思いましたが、切除してよく見ると幹に虫の入り口があり内部を食されていました。

 

 

 

 

■ブルーベリーの幼果を食害する謎の害虫?

ラビットアイが結実して間もなく1果実に1コの穴が開けられます。まだ害虫の特定ができていませんが、うっかり見過ごすと被害は全体に広がってしまいます(ハイブッシュは無事です)。 木酢液での防除は全く効果がなかったので、結実後速やかにBT剤による防除で対策しています。

 

 

 

■カイガラムシ類

樹液を吸い樹勢を低下させ、排泄物からスス病を引き起こします。枝についたカイガラムシは発見の都度手で取り去っているので、特に防除は行っておりませんでしたが、葉の表面に付いた幼虫の集団を見てしまってからは、しっかり防除を行う必要性を痛感しました。越冬害虫で幼虫は6月頃発生します。
ブルーベリーの登録農薬としては休眠期に施用する石灰硫黄合剤、あるいはマシン油乳剤で繁殖を抑える防除が一般的です。

 

写真はツノロウムシの幼虫です。
畑のの中で樹勢の弱いこの樹にだけロウムシが発生、周囲の元気な樹には発生しませんでした。
カイガラムシはカルシウム過多の樹に発生するとのことなので、カルシウム過多で成長障害を招いてしまった弱い樹に付いたのだと思います。ほかの樹にも蔓延するようであれば本質的な対策として、硫黄系の肥料による土壌カルシウムの固定化なども考えなければなりません。。

 

 

 

 

■スズメバチ
5月頃から庭や畑ではどこからともなくスズメバチの不気味な羽音が聞こえてきます。飛行経路を注視して巣(蜂群)が大きくなる前に駆除する必要があります。
越冬した女王蜂が巣作りに入るのがこの頃なのでしょうか、ペットボトルを利用したスズメバチトラップを仕掛けて早期駆除を心がけています。

ネットでも多数紹介されておりますが、混合割合は概ね以下のとおりです。
 ・日本酒180cc
 ・酢80cc
 ・砂糖100g
 ・乳酸菌飲料180cc(これが効果あり!)

 

 

 

 

 

 

■コガネ虫の幼虫 (根の食害)
ブルーベリーのポット植えでは最も注意を払うべき害虫です。根元がぐらぐらしたり、紅葉したりと症状は判りやすいです。症状が現れたらマルチを取り除いて確認します。初期の頃(夏場)はマルチ直下に生息しているので手で一匹づつ駆除します。ポット内部に入ってしまった場合は根洗いするしかないと思います。
さまざまなマルチ資材を試みましたが完全な防御はできませんでした。一番効果があるのはマルチを止めることのようです。ポット植えの場合はマルチを行わなくても成長には影響はありません。
地植えの場合は多少根を食されてもすぐに復活できるので特に対策はしておりません。マルチに使うチップは甲虫類が好む広葉樹チップを避け、針葉樹チップとモミ殻を使っています。

 

天敵微生物資材「バイオトピア」も非常に効果がありました。でも費用が掛かりすぎるので今は使っていません。

 

(7月下旬マルチを除いたところ)

 

・コガネ幼虫の駆除
 ポット苗にマルチをしている場合は初期段階ではマルチ直下に居るので手で駆除できますが、対処が遅くなると奥深く入り込むので根洗いして除去するか、駆除剤の投入が必要となります。 目視確認できる幼虫については手で一匹づつ取り除きますが、内部に残っているものに対しては、微生物資材(バイオトピア:コガネ幼虫に寄生する線虫)が有効です。ポット苗のマルチを止めるとコガネ幼虫の被害は減るようです。     

 

 

■コガネムシ成虫(マメコガネ:葉と果実の食害)
 ハイブッシュ系(パトリオット他数品種)に多く寄り付きます。 特に果実の食害については房全体が駄目になってしまいますし、一旦寄り付くと、どんどん固体数が増えてしまいます。

 

マメコガネの成虫です。葉をレース状に食害し、更には果実もご覧のとおり。食害された果実には仲間がいっぱい集まるので見つけ次第捕殺します。
大量に寄り付くと人力では手に負えなくなります。 

 

 

・コガネムシ誘引トラップによる捕獲

この誘引トラップは、コガネムシの種類毎に誘引剤が選択できる優れもの。誘引効果が高く樹に寄り付く数が一気に減ります。樹上で交尾している固体が多いので、この成虫を駆除することが幼虫の減少に繋がると思うので、しっかりと駆除したいものです。

 

 

ブルーベリー登録農薬、天然資材

■年間の防除サイクル
 何より樹勢の維持が一番の特効薬であり、樹勢が弱くなった時や、過度の施肥などにより栄養バランスが崩れたときに病害虫の被害に遭う頻度が高くなります。薬剤の施用にあたってはブルーベリー登録農薬の中から選択するわけですが、私はミツバチへの影響を考慮し、微生物資材を中心に最小限度の使用に止めるよう留意しています。

 

登録農薬による施用サイクルを紹介します。 

 

5月上(受粉直後):バチルス ズブチリス水和剤 (アグロケア水和剤)
            (斑点病・灰色かび病・さび病などの予防)
            ※人力で花弁を落とすことにより散布は1回のみ

 

5月下(結実直後):BT剤(デルフィン顆粒水和剤など)
            (イラガ類、ケムシ類、結実直後に果実を貫通する不明幼虫の駆除)
            ※1回の散布で対処可能

 

8〜9月下(収穫後):バチルス ズブチリス水和剤(アグロケア水和剤)
            (斑点病・灰色かび病・さび病など) 

 

 

■えひめAI(納豆菌・乳酸菌・酵母菌の菌液)
「現代農業2008年8月号」で「あいちゃん」として紹介された菌液を作ってみました。
ヨーグルト(100g)、黒砂糖(300g)、納豆(20粒)、酵母菌(20g)、水(500cc)を混合。次に塩を一つまみ入れた8.5リットルの水と混合し発酵させることで手軽に作れます。(出来上がりでpH3.7でした)
葉面散布は100倍で病気予防効果や害虫の退避効果があるとのことでしたが、私の使い方は、潅水時は100〜200倍で液肥等と混合して使用し、葉面散布時は300〜500倍程度で有用菌増殖をイメージして使っています。散布時期はまちまちです。

 

ちなみに、農業雑誌などで「えひめAI-2」として紹介されている配合割合は
ヨーグルト(500g)、黒砂糖(500g)、納豆(20粒)、酵母菌(40g)、水(9000cc)を混合。